SV40 プラスミド環状DNA

SV40 プラスミド環状DNA

今、もめている<SV40>とは、何か?

1.ポリオーマウイルス(2本鎖環状DNAウイルス)には、
  サルの腎臓に感染するSV40ウイルス、膀胱上皮に感染するBKウイルス、
  ガン末期やHIV感染者の進行性多巣性白質脳症(PML)を起こす
  JCウイルスがある。
  進行性多巣性白質脳症(PML) | 北大腫瘍病理学教室 (hokudai.ac.jp)

2.蛋白質発現に、環状DNA(ベクター)に
  プロモーター(DNA→RNA転写の開始)を
  組み込ませて行っているが、多くの場合、
  HEK293細胞(*)やCOS-7細胞など
  ラージT抗原(**)を大量に発現させるためのSV40プロモーターを
  組み込んでいる。
  さらに蛋白質発現ベクターを取り込んだ細胞を識別するために、
  ペニシリン耐性遺伝子を入れてあり、培養の際に、
  生き残れば、DNAの導入が成功と考えられる。
  また、蛋白合成阻害効果(失敗作)を評価するのに
  カナマイシン/ネオマイシン耐性遺伝子(蛋白抑制)も組み込まれ、
  目的の細胞ができているのかを
  薬剤スクリーニングで選別可能。
  *アデノウイルスDNAをゲノムに組み込んだヒト胚性腎臓細胞で、
   組み換え蛋白質の大量生産が可能になった。
   HEK293Tは、HEK239にSV40LargeT抗原を発現させたもので、
   SV40複製起点(プロモーター)を持つプラスミド(染色体と分離独立的に
   複製が可能な染色体外DNA分子)ベクターで、大量の蛋白質生産が
   可能(今回はスパイク蛋白質の大量生産)
   
  **腫瘍蛋白質ラージT抗原(LTag)はDNA型腫瘍ウイルスの
     SV40(シミアンウイルス)がコードする蛋白質で、
     P53を不活化して、癌化(不死化)する。
     (今回はターボ癌)
 タンパク質発現ベクター|タンパク質実験|【ライフサイエンス】|試薬-富士フイルム和光純薬 (fujifilm.com))

3.SV40とがん
  SVシミアンウイルスは、環状型DNAウイルスで、細胞侵入後、T抗原を
  作り、癌細胞に変化させ、P53とRb(網膜芽細胞腫蛋白質)を不活化し、
  癌細胞は増殖する。シミアンウイルス40 (Simian Virus 40) | 今月の分子 | PDBj 入門

4.P53腫瘍抑制遺伝子
      
結論としては、富士フィルムの大腸菌での実験に使われている
遺伝子操作と同じ。SV40でT抗原により、細胞を癌化させ、
その増殖細胞で、大量のスパイク蛋白を作らせている。
癌で死ぬか、血栓で死ぬか。